金さんの最期/室町 礼
たちが群がっている。
そういう賭場が三角公園のあちこちで開かれてお
り、金さんはこの粗末な丁半バクチに打ち興じて
いました。そのために近くて便利なわたしの家に
転がり込んでいたのかもしれないのですが、その
頃は懐具合がすっからかんになっていたらしく、
バクチはやめて一日中、さまざまなバイトのネタ
を探して小銭を稼ぐ日々のようでした。
たとえば金さんは朝早く、古ぼけた自転車をこい
で大阪中央市場へ行くのです。
メロンでも西瓜でもちょっと割れてしまったよう
なものは捨てられて、野菜や果物などから出たゴ
ミといっしょに山のようにうづたかくつまれてい
るのですが、メロンなどは
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