金さんの最期/室町 礼
 
を受取りまし
た。そこには見たことも会ったこともない人物の
名前とそれに連なる親戚縁者の関係図が入った図
面が添付されおり、なにやら複雑で難解な法解釈
のようなものが説明されてわたしは何番目かの遺
産相続人にあたるということでした。かなりの遺
産の額──残された貯金通帳数冊分の金額も書か
れてありました。
藪から棒。青天の霹靂でした。わたしはその手紙
を握りしめてだれもいない部屋で「どうだ、ざま
あ見ろ!」と叫んだものです
それからニ年ほど相続権者たちとの間ですったも
んだがありましたが、結局、三年くらいのあい
だはいかほど贅沢三昧をしても困らないだけの現
金と資産を得
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