吉岡実をもっと吉岡実にするために/室町 礼
 


四人のリベラルサヨク
雲の見えるタワマン暮らし
ときに女装して
釘バットをもち
憎しみをこめて
裸体が映った鏡を叩く
駅伝の号砲が鳴るまで
一人はうつろ
一人はがらんどう
一人は空疎
一人はすからかん



四人のリベラルサヨク
夜の散歩に出かける
一人は大学教授の姿で便秘の悩みを子安地蔵に打ち明ける
一人は詩人の姿でお尻に蜂蜜を塗り愛犬為五郎に舐めてもらう
一人は評論家になって飯窪春菜の個展をこき下ろしにゆく
一人は三人を監視するために豚舎のブタと交信する
四人一緒にタップダンスを踊ったことはない




四人のリベラルサヨク

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