一万光年の彼方に/鏡文志
 
ったという思い出として地球観察記録の最後の言葉にして記したい。悔いなき人生は寂しい。私は後悔した。やり残したことが沢山あった。まだまだ可能性があったと惜しまれながら去っていきたい。その惜しまれることによってのみ、限度と節度を持って生きてきた人間の正義は証明されると思う。
空白残して満腹ありと去ることを良しとしない私が、人間であったことを是として去る証拠を示すものは、知性による学問的修練を示す功績ではなく、年老いた女性の年輪が刻まれたその平手で握られた、円の中にありて地熱を灯す炎を思わせるおにぎりなのである。ハッ!?

(どうしよう!? 僕は太陽! 北風くんにちょっと文句があるんだ。僕が格好良
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