だからわたしは殴られる/室町 礼
子どもの頃、不満だったのは
土地の私有状態にだれも疑問を持たないことだった。
もともと全人類の共有財産である土地がなぜ
特定の人間に私有されているのか。
孤児だったからそう考えたのかもしれないが
おかしいじゃないかと思い続けていた。
そこで『共産党宣言』を読んでみた。
よくわからないが共産党である。天下の共産党なら
当然土地の私有を否定してくれると思った。
意外なことに土地の私有は否定されていなかった。
財産の私有も否定されていなかった。
エンゲルスやマルクスにとって社会化の対象となるのは
「生産手段」だけであるという。
「生活手段については、私有財産として生産者自身
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