四季彩歌/栗栖真理亜
さくら散り賀茂の水辺で浮かびたる
ながれながれてどこへいくやら
露ふくむ若葉横たえきみをまつ
我が身虚しさきみぞや知らむ
おだやかに流れる時を肌にうけ
加茂をみおろす桜の並木
もこもこと緑ひろがる山裾に
日差しかかりて明るく照らす
夢過ぎて色も薄れしかきつばた
太田のさわ沢にその身横たえ
夢枯れて口を開けば節約と
こころ休まるいとまなし
絶望に打ちひしがれし五月雨の
冷たき頬に雨粒あて
気落ちしてそっと目を閉じたたずめば
頬に感じる初夏の暖風
彼方へと想いをとばす面影は
愛しきひとの遠き眼差し
念仏にじっと佇み耳すます
生き
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)