四季彩歌/栗栖真理亜
 
生き物はクモただ一匹のみ

念じれば愛しきひとの面影も
想いも去りて虚無となりき

泡沫の夢追いし君光輝なる
姿とどめし心のうちに

ビニールの青き波間に揉まれつつ
梅雨を凌ぎて耐える飛蝗よ

しっとりと時の流れに逆らわず
ただ雨音に耳をこらす

まぶた閉じ薄暗がりに映る影
愛しき人と想いかさねん

我がこころ闇夜も照らすろうそくの
炎はいまも明るく燃えゆ

陽を浴びてゆらりゆらりと舞う羽根の
遊覧飛行白く煌めく

愛し君やさしき微笑みに微睡めば
夢幻ぞ哀しきさだめ

菫色儚く誇る恋の歌
心に染みる深き思いよ


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