ジャガーを抱いて眠りたい/天使るび(静けさが恋しい)
 


 カバーを外した文庫本を持ち歩くこと。指でページをするすると撫でてゆく。ぼくにだけわかるほどの繊細な風を起こすための感覚刺激アイテム。

 息が苦しいときに効果的な問いかけもございます。

(所詮は下界のことなのぢゃ)

 ひきつけを起こしたときに一心不乱に救済の言葉を叫ぶこと。すみやかに天使は下界へと駆け下りてぼくの身体を動きから解き放つ。

 緩やかに羽を閉じてゆく視界。耳の奥から花が咲いてくるみたい。見えないよ。うまく聴こえないよ。無防備で剥き出しの穴という感覚がいまはない。

 世界が調律されてゆくようだ。

 人体は優秀な設計で成り立っている。傷みの荒らし
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