熊のフリー・ハグ。/田中宏輔
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今朝、通勤の途中、新田辺駅で停車している普通電車に乗っていたときのことでした。
「ただいま、この電車は、特急電車の通過待ちのために停車しております。」
というアナウンスのあとに、「ふう。」と、大きなため息を、車掌がつきました。
しかし、まわりを見回しても、車掌のそのため息に耳をとめたひとは、ひとりもおらず
みんな、ふだんと同じように、居眠りしていたり、本を読んだりしていました。
だれひとり、車掌のため息を耳にしなかったかのように、だれひとり
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