熊のフリー・ハグ。/田中宏輔
5階建てのビルディングぐらいの高さがあった
塩の山
そこで働いている人には
めずらしくともなんともないものなのだろうけれど
自由金魚
世界最大の顕微鏡が発明されて
金属結晶格子の合間を自由に動きまわる金魚の映像が公開された。
これまで、自由電子と思われていたものが
じつは金魚だったのである。
自由金魚は、金属結晶格子の合間を泳ぎまわっていて
金属結晶格子の近くに寄ると
まるで金魚すくいの網を逃れるようにして、ひょいひょいと泳いでいたのである。
電子密度は、これからは金魚密度と呼ばれることになり
物理とか化学の教科書や参考書がよりカラフルなものになると予
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)