熊のフリー・ハグ。/田中宏輔
 
く隣の席のところにまで飛んでいきました。
イタリア語のテキストをジミーちゃんが持ってきていました。
ぼくも、むかしイタリア語を少し勉強していたので
イタリア語について話をしていました。
お母さまは音大を出ていらっしゃるので
オペラの話などもしました。
ぼくもドミンゴの『オセロ』は迫力があって好きでした。
ドミンゴって楽譜が読めないんですってね。
とかとか、話をしていたら
突然、外が暗くなって
雨が降ってきました。
「降ってきたでしょう。」
と、ぼくが言うと
ジミーちゃんが携帯をあけて時間を見ました。
「ほら、3時半。」
ぼくは洗濯物を出し
[次のページ]
戻る   Point(15)