一路平安お達者で/天使るび(静けさが恋しい)
流線状に落ちてゆく向日葵を切り落としたのは誰だ。日向の影が闇のなかでも影であることを意識しながら夜を歩く。それはどこか昼の空の奥にある星々を眺めようとする気持ちと似ていた。
薄く目蓋を閉じるときの光りの残像がぼくは好きだ。フラフープの回転する速度で光りはすとんと身体の奥へと収まる。
暴力的な青空の空き間から覗く太陽。白い壁の病室をぶった切るように配置されたカーテン。ゆらりと蠢く命の影は祈りを終えた十字架のようだ。
ぼくは病院の保護室で窓枠を捕らえた夕陽の影にいくつもの十字架を見たんだ。急に泪が押し寄せたぼくの心の洪水は微笑むことで凪いでくれたよ。
あの場所に誰もいなくてよかった。お友達なんて本当はひとりもいらないのだ。ぼくに刺さる十字架はイエスさまのものなのだ。ここにいて他に何が必要なのであろう。
ぼくの心はアルカイク・スマイルを浮かべている自閉症の子どもたちのいる天国にあるのだ。かみさま生きてありがとう。命懸けのあなたの命にぼくを捧げますね。
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