死後の世界で会いましょう/由比良 倖
 
冷えた指この世の果てがそこに居る


イヤホンの中で無限の春に会う


目蓋から水だけ落ちる安定剤


小指から溶けて旅立つ子供の日


指先に見覚えのある夏の雪


視神経僕とあなたを隔つ膜


細胞のドアを開いて海に出る


数えてる誰の足音とも知らず


幾億の死体安置所冬の歌


冬の夜、前世来世が懐かしい


遺伝子を組み換えていくヘッドホン


肉眼の向こう電子の血が咲いた
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