泥と灰の聖遺物/ただのみきや
チャコールグレーの小さな蛾
狂ったように暴れてた
冷たいアスファルト背に
おしみなくしぶとく力なく
さかしまの日差しに浮かれ
うなされて
生死の境を針と糸
縫うように縫うように
浮いては沈みまた浮いて
蛾の気持ち
人の気持ち
みんなだれかの影法師
小さな天蓋プラネタリウム
きみらの悟りの産物だ
いいよそれでどうとでも
わたしもきみらと同じさ
世界
自分
世という界で
自らを分ける
わたしが所有する
自分という万能おもちゃ
自傷のための十徳ナイフ
だれの期待にも応えない
ここに埋もれたままの
「好
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