しあわせよりも血あわせ/菊西 夕座
――完成された時のなかでは、空想だったあの人も、生まれ、生きて、心をふるわせ、
すべてのとまってしまった血をもういちどあたためてくれる。そのとき、わたしの血は、空想から現実へと輸血されている。
「長いあいだかかりましたが時間が完成しました」
―どのくらい時間がかかったのかね?
「そうとうな長さですが時間は問題ではありません」
―どうして?
「時(ジ)っとしていましたから」
―どのくらい時っとしていたのかな?
「はかりしれない長さですがいまは秤のうえです」
―というと?
「時間の重さが釣り合ったということです」
―なにと?
「実感です」
―じかんとじ
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