2020年の詩的覚書/おまる
 
つけて、さっさと自殺していたのかもしれない。たまたま少しの間、生き延びたが、けっきょく死因は自殺だった。

石原の美質はあきらかに「自殺」と切っても切り離せない。この「いちごつぶしのうた」は「水準原点」に収録されている、好きな作品。「水準原点」までは、ラーゲリ体験による「心の傷」の影が残っていて、つまり歌う「対象」があるが、以降は、対象が不在となり、日本の伝統美、様式美が主題となっていく。作品の末尾には、遺書というほかない作品が書かれてある。

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たったいっぺんも悪いことをしなかった
アリラン爺さんが病みついた
雨の
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