失う存在世界 天使と血人へ/船曳秀隆
 
て蝋染め・血染めする
染められた血人に翼は無い
そっと天使の翼に便箋を挟んで 血を恋で澄み取れば
翼はゆっくり囁いているよ
天の華が散る今 僕の視界も一緒に散ろう
扉を越える天使を前にして
便箋が炎に消えていく

縛られた自由の影が恋を叫んでいる


?、天涙

愛は死に 残された儚い刹那の風に吹かれた
涙の泉の欠片は天へ開放される その瞬きに忘れ去ろうと
右涙が右頬に触れるまでの短すぎる距離
左頬が左涙を忘れるまでの短すぎる瞬間
天使の楽しみに飢えた泉で 天上への瞳は 嵐に翼を飛ばす
骨と化した後に呼ぶ声の
涙で育まれた便箋は君と僕の間を
噴水
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