雨の中で/ホロウ・シカエルボク
 
捨てた、その時に初めて雨が止んでいることに気づいた、考え事に夢中になって当初の目的をすっかり忘れてしまっていたのだ、俺は顔をしかめ、歩道橋を上って道の反対へと渡った、歩道橋の上から道の先を見下ろすと心がざわざわした、それがどんな感情に起因するものなのか、まるで思いつけなかった、ゲリラ豪雨の後処理をするかのように、身体が揺らぐくらいの強い風が吹き荒れていた、ちぎれ続ける雨雲の隙間に、何かを決意したかのような強い光を放つ太陽がこちらを睨んでいた。

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