虚を磨く/菊西 夕座
 
構のもりにむしかごかかえる営みです

まことはこんもりしげったそのおくに鳥をかくしてうたわせます
その鳥こそがうちらのいのちをついばんでうみのなかへとかえします
さんりく沖のつりびとは針のさきまでいしきをとおし
うちらのくわえるひと匙にこくうをあけて陽をさします

そこからめばえてくる茸(タケ)をきょうもとかいへおくります
うちらのいのちはこんもりとしげった森ではありません
そこのわれてるひと匙にすくわれこぼれる朝露です
かの俳優はめをとじて出ばんがくるまではたらきます
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