点の、ゴボゴボ。/田中宏輔
のうは、きょうよりもうつくしい。」
「おれ
北欧館で
おれみたいにかわいい子、見たことないって言われた。」
「広島のゲイ・サウナでな
エイジくん
いつでも、ただでいいよ
だからいつでも来てね
って言われた。」
「コンビニで
マンガ読んでたら
いかついニイちゃんが近寄ってきよったんや。
レジから見えへんように
ケツさわってきよってな。」
はあ、思い出します。
エイジくん。
なんで、きみのことばかり思い出すんやろうか。
ぼくのことは思い出されてるのかどうか
それは、ぜんぜんわからへんけど。
さっきの記述
「きょうは、きのうほどうつくしくはない。」
パウンドの詩句で
うろおぼえでした。
正確に引用します。
このはかない世界から、いかに苦渋にみちて
愛が去り、愛のよろこびが欺かれていくことか。
苦しみに変わらないものは何ひとつなく、
すべての今日の日はその昨日ほどに意味をもたない。
(『若きイギリス王のための哀歌』小野正和・岩原康夫訳)
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