点の、ゴボゴボ。/田中宏輔
 
れているような気がする。
廊下に立たされる。
そんな記憶はなかったのだけれど
ジャガイモを選ばなければならなかったのに
傷んだトマト2個100円を選んでしまったのだった。
トマトの味とか
匂いって
どこか精子に似ているような気がする。
しいてあげるとすれば
じゃなくって
ちょくでね。
ジャガイモって
子どものときには
きらいだった。
カレーのなかのジャガイモが憎かった。
カレーは、ひたすらタマネギが好きだったのだ。
ジャガイモもタマネギといっしょで
ぼくと同性だけど
ぼくの口との相性は悪かった。
精子がとまらない。
静止
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