キャンディー・バップ/ホロウ・シカエルボク
まぐれにキャンディーを買いたくなった、ひとつずつ包んで袋にまとめてあるあれさ…コンビニに入って懐かしいパッケージのものをひとつ買った、ジャンヌ・ダルクみたいなレジの女はずぶ濡れの俺を見ても顔色ひとつ変えなかった、そんなことは別に珍しくないという態度だった、そんな態度を俺も欲しいと思った、コンビニを出ると雨は止んでいた、世界は小さな液晶画面の意のままに進む、でも、だからなんだって話だよ、手品か詐欺みたいなもんだ、そんなところに真実なんか別に隠れちゃいない、ある程度解き明かされた現実があるだけさ、わかるだろう、現実を受け入れることは別にリアリズムじゃない、それはロマンチシズムよりもロマンチシズムなんだ
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