THE THINGS WE DO FOR LOVE。/田中宏輔
ね。
そいでもって
約束の時間ギリギリまで掃除してたもんね。
ぼくは
シャツの上に浮き出たマスターの乳首の形を見つめた。
ぼくの乳首
大きくないし。
「あっちゃん、
アプリって知ってる?」
「知らない。」
「マイミクになったら
教えてあげる。」
「ならない。」
「ほれほれ、この漢字読める?」
箇所
って漢字を、携帯で読ませようとするマスターに
「読めない。」
「あらあら、
あっちゃん、
詩を書いてるのに漢字が読めないのね。」
「漢字はパソコンが書くから
ぼくが知らなくってもいいの。」
「まあ。
あっちゃん、
もっと漢字、知らなきゃ
詩を書けないでしょ?」
「べつに。」
ぼくは
シャツの上に浮き出たマスターの乳首の形を見つめた。
ぼくの乳首
大きくないし。
ぜったい大きくないし。
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