THE THINGS WE DO FOR LOVE。/田中宏輔
 
それはこのあいだ、プロバイダーを替えたんだけど
モデムとかが入っていたヤツね
いまは古いほうのモデムなんかを入れて返送用の箱待ちぃ〜

その上に
いまお風呂場で読んでる『源氏物語』の「薄雲」のところがあって
これって
ホッチキスで読む分だけを、とめてあるやつなんだけど
それを渡して
ぼくがオレンジ色の蛍光ペンで印をつけたところを指差した。
「夢の渡りの浮橋か」(うち渡しつつ物をこそ思へ)
って、ところね。
「いいでしょ?
 このフレーズ。」
「これ、だれの訳ですか?」
「与謝野晶子。」
「これ、もと歌がありますね。」
「あるんじ
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