大阪文学学校体験記/室町 礼
 
の部に分かれていて、わたしは教室か
ら出て帰るところだったが、その愛らしい新入生の子
はこれから教室に向かうところだった。
わたしはうっかり他の事を考えていたのかもしれない。
会釈を忘れたようなのだ。するとその女の子はすれ違
いざま、いきなり年長のわたしの前に立ちはだかった。
「おい、舐めてんのか、おまえ。無視しないで挨拶く
らいしろ!」
と低い声で恫喝したのである。晴天の霹靂だった。天
使のようにあどけない顔の女の子はそういうと、呆気
にとられて立ちすくんでいるわたしを置いて、何事も
なかったようにすまして教室に消えていった。ったく、
詩人め。

ある女の子からは飛び
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