大阪文学学校体験記/室町 礼
 
う人に限って
長生きするんだよ。鼻ヒゲをこすりながら薄笑いを浮
かべた。それを聞いてひと安心すると同時に自分が理
由もわからず嫌われていたことに少なからず落胆した。
しかもその嫌悪の気持を詩に託すなんてことがあるの
だと知った。詩人なんて容易な連中じゃないぞと思っ
た。

ほかにもこういうことがあった。
入学してしばらくすると秋期の新入生が入ってきた。
その中に光がさすような可愛い女の子がいた。講師の
細見までが授業のあとその子を呼んで屋上に通じる階
段に腰掛けながらいろいろと相談にのってやっていた。
その女の子と廊下で出会ったことがある。大阪文学学
校は昼の部と夜の部
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