ナレーション魂?/鏡文志
 
吉田拓郎は『今はまだ人生を語らず』と歌った。
未だ未熟者が人生を語るのはみっともないという考え方がある。
批評家と言われる類の表現者の多くは、人生を語らずに詩を語る。映画を語る。音楽を語る。なにか批評する対象物を語る。それぞれの専門ジャンルを語ることを生業としている。
日々生きてきてなにか分からない漫然とした判然としないものに納得出来る物語が欲しい。
私の場合は、ナレーション力のようなものを批評家であり、表現者に期待し託していたところがある。
しかし、彼らの多くはコロナ禍を契機に急速にその力を劣化させていった。
考えてみれば劣化したと思う人の多くは人生を語る人たちではなかった。
音楽
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