ことばの肢体/ただのみきや
こどもの声が転げ回っている
かわいいようで
自分の手じゃとどかない
こころの裏地を引っ張られる
いやな感じもして
微笑みの抜け殻が
靴音をひびかせた
日差しが絡まって睫毛は重く
広い駐車場にはまだ
踏みしだく秋が不在だった
羽毛を布にくるんで羽織る人間が
己の氷嚢に慣れ切っているわけもなく
枯葉じみた蝶に
どこか遠く 連れられて
瞼の内にも外にもなにもない
こんな虚空にスケッチするのは
裸婦に化けた悲哀ばかり
(2024年10月27日)
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