アクロバット・プレイ/ホロウ・シカエルボク
 
転がっているだけなら石以上の意味はないのだ、大切なのは、自分自身でそれを明らかにすることだ、それには決まった価値などない、紙幣のように明示される基準などない、妙な工作を施す必要はない、ただ全力で書き上げて曝せばいい、あとは誰かが勝手にやってくれる、大事なのは確実に自分にとって最良のスピード、最良のリズムの中でそれを書き続けることなのだ、内容なんてどうだっていい、指先は勝手に動く、思考の奥深くにある領域の言葉たちを、それと知覚する前にディスプレイに投げつける、俺はディスプレイを睨みながら表示される文字列を追い、その時初めて自分が何を書いているのかを知る、思考は指先の後だ、雷のようなものだ、光の後に音
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