もうね、あなたね、現実の方が、あなたから逃げていくっていうのよ。/田中宏輔
 
ていいんだ
 なに書いたって詩になるんだ
 って思わせられるよね。
 自由に書くってことね。
 書く自由かな?
 まあ、ぼくだって
 これまで好き勝手に書いてきたつもりだけど
 これからもますます好き勝手に書いてくつもりよ。」
「『舞姫』は、どうなんですか?」
「あれ、だめ。
 The Wasteless Land.のVにするつもりだったけど、やめたわ。
 設定が窮屈で、自分で書いてても、ぜんぜんおもしろくないんだもの。
 でも、その断片のひとつに、主人公の詩人の双子の兄が出てくるんだけど
 そのお兄さん
 自分の顔を緑色に塗って出てくるのね。
 エリオットって
 
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