もうね、あなたね、現実の方が、あなたから逃げていくっていうのよ。/田中宏輔
 
さんも送れますよ。」
「えっ?」
「日本からでも送れるんですよ。」
そういえば、西脇順三郎も
さいしょの詩が掲載されたのって
イギリスの詩の雑誌だったかなあ。
「朝にランニングしてるんですけど
 台風の翌朝
 鴨川の河川敷を走ってると
 ぬめって危険なので
 歩いていたら
 たくさんのザリガニが
 泥水から這い上がってきて
 それを自転車が轢いてくものだから
 前足のハサミのないものが潰れてたり
 うごめいてたり 
 それがびっしり河川敷に
 両方、ハサミのないものもいて
 それは威嚇することもなく
 泥の中に戻りましたね。」

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