自称詩人の彼方に/鏡文志
 
「僕には語るほどの人生は、ありませんでした。
パソコン、CD、映像、テレビ、ゲーム、勉強、読書。人生のほとんどを頭の中の遊びで過ごしてきました。人生のほとんどの欲望は、妄想で済ませられるものです。そんな私にとって、これだけは譲れないものがあります。それは晴れた昼下がりに飲む、生温い缶ビールです」
自称詩人、一日も働いていないのに、酒を食らうのみ。
「僕には守るほどのものが、ありませんでした。友達も恋人も両親も、別にいつ死んだっていいものです。自分だけが可愛いと言う本音に耳を塞ぎ目を背けながら、後ろめたさを抱いて生きてきました。そんな私にとって、人生で一度だけ自分を超えて愛してしまったものがあ
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