大雑把なルーレットの上の夜/ホロウ・シカエルボク
見えて、感じているから現実と言えると思うのは間違いだ、現実というのはそれが確かにそうだと実感する瞬間のことを言うのだ、つまりそれが、風景であれ動作であれ、自分自身になにかしらの意図を持って語りかけて来る瞬間、現実というのはそういう現象の総称なのだ、愚にもつかない社会的リアリズムの言うことなんか聞いていてもなんの得もない、時間を無駄にするだけのことだ、この現代社会においては、クレバーと言われるもののだいたいは愚考であり愚行だ、どこにも行かない、なにを成すこともない、歯車として優秀なろくでなしどもの言訳の象徴だ、彼らは、自分たちが正しくあるために安直な結論にしか手を触れない、最初に浮かんだ言葉を結論と
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