万太郎方舟物語/鏡文志
 
貧乏で境遇に恵まれずまったくモテない男、万太郎にアイデアが生まれ閃きました。
この四十近くになる男は、どうすれば自分が社会的成功を収めて生を終えられるであろうかと真剣に考え、自らのルックスに思い至りました。ある日、万太郎は饅頭屋の容姿端麗なお姉さまに恋文を認めます。
「お姉さま、初めてお会いした時から、貴方のことが拙者忘れられませぬ。小生もう38になりますが、この歳で十二分に自らの容姿を活かした仕事をこなすのは難しい。そこでお姉さまの力をお借りし、二人で容姿端麗な子供を授かりますれば、公にてその児童を売り込み、二人は大金持ち間違いありませぬ」
「まあ、なんて失礼な子でしょう」
と饅頭屋のお
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