(531―8)野施行三十一(みそひと)文字/水恋鳥魚夫
 
(番外編41―8)葡萄の木のささやき

かつて葡萄の木を亡くなった父が大事に育てていた
稲に農薬をかけるときは葡萄にもそうした
ある年に茅葺き屋根が古くなり葺き替えを考えたが
もう時代が板金に進歩し太い茅も職人に至っては
笹子村2,000家に一人とおらず止む無くトタンにした

そういうもののわずか新しい屋根が50センチ高くなると
東からの朝日の太陽と南の葡萄の木が日影になった
それでも残された西日を頼りに葡萄は実をつけた
葡萄の実は貧弱になり父はがっかりしていた
それは大量の葡萄をつけるで木で葡萄酒にもして冬に飲んだ
見た目以上の木だった



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