数式の庭。原型その2/田中宏輔
空集合について、独特の見解も持っていたし。
さっき見かけた
1+1=1
という小さな数式の花が消えていた。
見間違いだったのだろうか。
詩人のメモが見させた幻想だったのだろうか。
かつて、詩人が言ったように、
雲という言葉が
じっさいには、そこにない雲を
こころの目に見させることがあるように。
*
詩人のメモから
無限に1を足すという言葉に意味があるとすれば
無限=1
ということになるであろうか。
いや
無限に1を足したものが1に等しいのと
無限が1に等しいというのではフェイズが異なる。
1+1+1+・・・=1
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