数式の庭。原型その2/田中宏輔
 
自分を観察し解釈し解析しようとするであろう。現実をあらしめるために。それゆえに、神は、世界を創造し、人間というものを創り出したのかもしれない。ここで、ふと、わたしは、詩人のつぎのような言葉を思い出した。
「神とは、あらゆる人間の経験を通して存在するものである。」


*


 数式においては、数と数を記号が結びつけているように見えるが、記号によって結びつけられたのは、数と数だけではない。数と人間も結びつけられているのであって、より詳細にみると、数と数を、記号と人間の精神が結びつけているのであるが、これをまた、べつの見方をすると、数と数が、記号と人間を結びつけているとも言える。複数の
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