帰るべき家/パンジーの切先(ハツ)
 
)たちは、騒がしい音を立てる。子どもの泣き声みたいに、規則性も、遠慮もなにもない。わたしたちもそうだったのに、いつのまにかとおくまで来た。

 わたしが17歳の時、母が腹を切って死んだのも、草の上だった。わたしも死ぬなら、草の上がいい。あなたはそれを聞いて笑っている。ここで死ぬか、それもいい。どうしてこんなにうるさい中、あなたにはわたしが聞こえるの。わたしたちが座るこの布に、死んだ母の孤独が縫い付けられているような気がする。

 あなたは、わたしの膝を、指で弾いた。布の上に、蟻が落ちる。布の上を迷い歩いた後、蟻は、やはり草の中へ潜り込む。彼らには、帰るべき家がある、
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