ハルモニア/りつ
 
生物は みな美しい
無生物も みな美しい

路傍に転がる小石
光にかざすと キラキラして
たからものの引き出しに入れた

河原でみつけた緑色のかけら
ざらざらした不思議な手ざわりで
魔法の石だと信じて
毎日ポケットに入れて持ち歩いた

空の青さを眺めては 永遠を思い
山際にある群雲は 天人の王国だった

どれほどこがれたことか桜
いっせいに散るさまが哀しくて
その潔さをみごとと思った

田圃に稔る 稲穂はきんいろ
風が吹き渡るたびに
さわさわと優しい音がした


私の観る世界は みな美しかった
そこには調和があった

ひとだけが 不可解だった
その嘘だけが 解らなかった
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