俺にDDTを/ホロウ・シカエルボク
緩く縛った紐ほどほどけ始めていることに気付けない、それはあまりメジャーじゃない真理だ、それは状態として変化していないせいだ、硬く縛った紐には緩やかな状態から変化した跡というものが見える、だから、それが再び緩んだときは誰でも気付くことが出来る、でもそれは真理としては初歩の初歩だ、言うまでもないことだけれど、だが人はそんな初歩の段階で満足してしまう、緩く縛られた紐には注意など払わない、彼らは一見してわかること以外相手にはしない、だから、ずっと同じものを見続けながら生きる、それはつまり紐についてはひとつの形態しか理解し得ないということである、俺はそういう時いくつもの状態にこだわってしまう、だから紐に
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