Wing/おまる
っては、
別れてすぐは、どうしようもなくつらかったのに、少しずつ以前の自分を取り戻し回復する。でも時間は止まったまま、なぜ止まったままなのかうまく説明できない。魂のない體はただの肉と同じ、
配達員がポストに届け物を入れて去っていく。どうせ自分に手紙なんか来ないと思ってポストを開けたら、この封筒があった。一言の言葉もなく、羽根が入って、
「あなたのはねです」
羽根はついに聖性を帯びはじめ、ポケットからとりだすと鴉共がいっせいに騒ぎはじめるようになった。だからといって軽々しく喜んではいけない。この場所はあいかわらず虚無にみちていて、自分の?もあいかわらず、虚無で。だからこそ分かれ道でとまどい、迷わずにはいられない。
全く呆れるじゃないか、これぞ都会の神髄。見え透いた嘘をいう輩で腐ってる。俺はいつだってガチだよ。ぜんぶ嘘って知っているから、なにもかもバカバカしいから。ガチになれる。
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