安い靴下なんか買うもんじゃない/奥畑 梨奈枝
も確証もない
信念ばかり
吹き飛ばそうとする風
中華料理屋の壁
不動産屋の看板
責める人のいない日に
これといった遊びもせずに
「権威に阿ってばかりの優しさが
優しさのはずがない
秩序なんてもういいんだ」
途方もなく歩きつくす
街路樹が何だったか
空が何色だったか
もう思い出せない
人の流れに逆らって
「お前を生きる価値が充分にある」
反抗と服従から自由になれ
人が死ぬことと去ること
区別をつけずにいた
結局わからないんじゃないかと
形式ばった白々しい坊主に
議論を吹っかけようってことじゃない
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