狭間/ホロウ・シカエルボク
 
よバーにせよ喫茶店にせよ今はもうやっていないようだった、もう何十年も建物としての役割を果たせないままそこにある、そんな感じがした、入口であったのだろう場所は板で覆われていた、非常階段を降りている時に、階段の真裏に小窓があったことを思い出して回ってみた、よくある交差式の引戸タイプのサッシで、滑らせてみると当り前のようにすっと開いた、トイレか何かだろうか?ほんの少し背伸びをすれば簡単に入れそうだった、少し悩んで、入ることにした、入口が塞がれているのだ、中で誰かに遭遇する可能性は限りなくゼロだろう、そこはトイレだった、水洗ではあったが和式の便所だった、そこだけ見ると現役のように見えた、個室が三つ並んでい
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