狭間/ホロウ・シカエルボク
 

非常階段の先で光輝く太陽を見た、それは死にゆくものが最期に見る光景のように思えた、でもそれを確かめる手段なんか何も無かった、それを知るには俺はまだ強欲過ぎたんだ、衝動に従って―意味も分からないままに歩を進め、名前も分らないビルの屋上でそういう光景を目にすることはよくある、俺はそういう時「呼ばれている」と言う、ある種の光景、風景が電波のようなものを使って俺に呼びかけるのだ、だから俺は常にどこかで、そういう電波をキャッチ出来るようにアンテナを伸ばしている、受信帯域を確保している、電波を受信するのは一瞬なのだ、僅かでも隙があれば折角のチャンスを逃してしまう、報道系のカメラマンがテレビで似たような話を
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