ロボットの葬式/藤山 誠
 
巨大なビルに入り口ひとつ
入り口にはいると部屋ひとつ
部屋の中にはモニターと小窓と非接触ICリーダーがある

リーダーに手の甲を近づける
奥でリフトの動く音がする
モニターにいつも同じ揺れ方をする線香の煙の映像が流れる

開いた小窓からアームが出てくる
モニターが切り替わり最後の別れと表示される
金色のチップが張り付いた緑の基盤をアームに丁寧に載せる

ロボットひとつに魂ひとつ
アームはゆっくり引っ込んでいく
もう誰も来ないここで私は少しずつ錆びていく
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