新月の夜/アラガイs
 
                               



                             暗闇から暗渠を覗くのものすべてが恐怖に等しく
 その眼が吸い込まれるように  誰かがおいでおいでをする

 光に照らされるものすべてが幻想であると知る

悲しみも喜びもオリジナルな躊躇いを引き連れて

真夜中をみつめる ときには地上から三日月の矢が放たれて

あなたは井戸の中を覗き込むペリザンド

停滞する時間を逆流して流されていく魚たち

露に羊歯の白い羽根が                     星の中

わたしがいない      三度も驚きはしないだろう

耳を澄ませば記憶に導かれ

              色味のない花芽を踏みつけていた

                                   新月の夜には宙を見上げる
 
  黒い幕の内側




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