数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
トのように。
しかも
さいしょの場所に戻ってみても
さいしょに見たものとは違った花になっているのだった。


*


目が覚めると
数式の庭のなかにいた。
また身体が小さくなっていた。
エクトプラズムのように濃い霧が
庭に満ちていた。
頭上で音がするので見上げたが
霧のようなエクトプラズムで
数式の花が変形し展開する姿は
目にみえなかった。
気配はエクトプラズムを通しても
伝わってきたのだが
エクトプラズムの霧が
少し薄れているところから叫び声が聞こえた。
目をこらして見ると
数に身体を寸断されているわたしがいた。
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