数式の庭。原型その1/田中宏輔
わたしの目を曇らせる
なにかがあるような気がするのだった。
話のなかに出てくる事物や事象の
外側にある、いったい、なにが
わたしの目を曇らせているのであろうかと
わたしが考えを巡らせているうちに
相手は
わたしを置いてけぼりにしていったのだった。
そこでは、ただ
事物や事象にとらわれたわたしが
途方に暮れているのであった.
わたしと相手の息と息のやりとりのなかで。
この数式の庭に、ひとりたたずんで
わたしは、しばしば考えるのであった。
わたしが思いを巡らせた事物や事象が
わたしを置いてけぼりにしたのであろうか
それとも、相手がわ
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