数式の庭。原型その1/田中宏輔
る状態である限り
わたしは生きて考え、考えながら生き
この数式の庭に、わたしの目を凝らしているだろう。
そうありたいと、こころから思っている。
*
数や記号をいっさい使わないで
数式の花を咲かせている。
ただ一度だけ
オイラーの公式について書いたときにだけ
数と記号を使ったことがあるだけである。
そういえば
言葉を使わないで
すなわち
思考を意識的に巡らせることなく
ものを眺めているときに
音楽を聴いているときに
いったい精神状態がどのような状況にあるのか
考えたことがないことに
ふと気がついた。
*
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