数式の庭。原型その1/田中宏輔
引き入れる。
数字や記号が
じょじょに土のなかに
吸い込まれるようにして
姿を消していく。
*
花びらの一枚一枚が
色あざやかな光の形をしている。
花びらの一枚一枚が
生命の色に輝き彩られている。
数式の花は
光と息を吸収して育つ。
数式の花は
光と息からできている。
光は
わたしたちの目で
息は
わたしたちの生命で
数式の花は
わたしたちの目と生命にあふれている。
だからこそ
ときおり
とりわけ
忘我のときに
数式の花が
わたしたちの目となり
わたしたちの息そのものとなるのだった
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